柔造、蝮、はそれぞれが一番年も近かったから一緒に居る時間は長かった。
柔造と蝮の仲の悪さはその頃から健在だったが、それでも二人が一緒に居たのはと居たかったからかもしれない。
三人の中で一番気性も穏やかで優しいが蝮は親友として、柔造も親友、そして初恋の相手としてもとても大事でたまらなかった。
それぞれと二人だけで遊びたかったけれども、取り合いをする度には寂しそうに、喧嘩になると悲しそうにするから
そこはお互いに暗黙の了解でが居る前では三人仲良く遊んでいた。
そして柔造が九つ、蝮八つ、も八つのとき、志摩家に五男が誕生した。
子供達の中では年長組みだった三人は一日たってからその子に会わせてもらった。
志摩のお母さんに抱かれて眠る赤ん坊に一番食い付いたのは、意外にもだった。
「…かわいい」
はへにゃりと笑って赤ん坊を見つめていた。
他に兄弟もいないはずっと弟や妹達の居る柔造と蝮を羨んでいた。
お母さんはそのことを知っていたからにっこりと彼女に笑いかけ
「この子のことよろしくね。ちゃんももうお姉ちゃんやもんねぇ」
と言うとは何度も頷いた。
そしてそんなを見てかいらしいなぁと柔造、蝮は思っていたのだけれども、
まさかこの赤ん坊が自分達の最大のライバルになるなんて、当時は微塵も思っていなかったのだ。