Magic Works 2


飛行訓練の後あたりからの知らない間にハーマイオニーとハリー、ロンはすっかり険悪になっていた。

まぁ、もともとそんなに仲良くは無かったけれども、ここ最近はハーマイオニーは徹底的に二人を避けていた。
何かあったの?とが尋ねるとハーマイオニーはハリーとロンが飛行訓練の翌日、マルフォイと決闘をすると言って夜中に寮を抜け出したときのことを話してくれた。
ハーマイオニーはスリザリン生のマルフォイに挑発され、校則を破り寮を抜け出したハリーとロンを止めようとしたが太ったレディが夜のお散歩に出掛けてしまい寮に戻れなくなり、合言葉を知らなくて寮に入れずに居たネビルと仕方なく二人に着いていったらしい。

しかし、約束の時間になってもマルフォイは現れずに、代わりにフィルチが現れて四人は逃げ惑っているうちにいろいろあってハーマイオニー達は例の禁じられた四階の廊下に入ってしまい、そのときに頭が三つある犬が何かを守っているのを目撃したそうだ。

だが、ハーマイオニーはそんな三頭犬のことよりも二人の馬鹿げた行動に怒っていた。


「ほんとうに!あの二人はとんでもないわ!は間違ってもあんなことしちゃ駄目よ」


は三頭犬に少し興味がわいたがハーマイオニーの剣幕に思わず頷いた。

またそのすぐ後にも、ハーマイオニーとハリー、ロンは揉め事をおこした。
飛行訓練のときのハリーの“活躍”によりマクゴナガル教授から送られたニンバス2000という箒のせいで。

ハーマイオニーは二人がまるで校則を破ったから箒をもらったかのようにしていたところが気にくわなかったようだ。

そんなこともあり、は最近、ハリーとロンとは挨拶すらまともにできないくらいの板挟みというよりは、とばっちりを受けていた。

もともとまだちゃんと英語を話せないと真剣に話をする人は、セドリックやハーマイオニーを除けばケヴィンとパーシーにネビルくらいだったが。


そんななか、フリットウィック先生の授業ではついに物を浮かせる呪文を実際に練習することになった。

生徒はペアを組んで配られた羽を浮かせるのだが、そのペア決めのときに、気分転換にと先生が席の前後でペアを組むようにと言ったのが問題だった。
とハーマイオニーは隣に座っていたので一緒にはならず、はハリーと、ハーマイオニーはロンと組むことになったのだ。

ロンはあからさまに顔をしかめたがハーマイオニーはむすっとしながらもロンと向き合った。
もハリーの方を向きペコリとお辞儀をして杖をローブからひっぱりだした。



「ウィンガーディアム、レビオーサ!…ウィンガーディアム、レビオーサ!」


ハリーは何度やっても上手くいかないからか段々と自棄になって杖を振っていた。

も挑戦するが発音が所々間違えているからか上手く行かない。
いつもならハーマイオニーがどこが間違っているのかを指摘してくれるが今日はいない。

はフリットウィック先生がまた全体に「練習した通りに発音するんですよ、杖の動きはビューン、ヒョイッです!」とアドバイスするのを聞いてそこに注意してやってみると羽がふわりと浮いたがそれは近くでシェーマスが何かを間違えて羽を爆発させたときの風で浮いただけだった。
ハリーもと同じ勘違いをしていたようで、目があった二人は気まずそうに笑った。


「すごく、難しい、ですね。聞いたときは、できると思いました、けど…」


「うん。僕も魔法ならこれくらい簡単だって思ってたけど、思っていたよりも魔法を使うことは難しいんだね。」


または練習をはじめる。今までは発音にばかり気をとられて杖の動きを確認できていなかった。
は集中し直して杖を振った。
ビューン、ヒョイッ
羽はブルブルと震えると、ふわりと机すれすれに浮き上がった。

ハリーが驚いてを見るとは真剣な顔で杖で羽を動かす方向を杖で指して、もっと高く浮き上がらせようとしたとき、パーンとネビルの杖の発した破裂音での集中は切れて羽もパサリと机に落ちた。


、いま…」


ハリーがを驚いて見たとき、尖った声が二人の隣でした。



「だから、貴方の発音がおかしいのよ。ウィンガーディアム・レビオーサ。貴方のはウィンガーディアム・レビオサーになっているわ。」



「…ご丁寧にどうも。じゃぁ君がやってみろよ。」



ハーマイオニーとロンだ。

ハーマイオニーの“お節介”にロンは苛ついて喧嘩を売るかのようにそう吐き捨てていた。
ハーマイオニーはそれを気にせず杖を構えて一度咳払いをしてからやってみせた。



「…ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」



羽はふわふわと浮き上がり、フリットウィック先生が「皆さん!ご覧ください!ミス・グレンジャーがやりました!」と飛び上がって褒め称えたときには羽は天井近くまで行っていた。

ハーマイオニーは誉められて誇らしげに笑ったが、ロンはますます機嫌が悪くなっていた。


授業が終わって教室移動となるとロンはすぐにハリーのところへ駆け寄って先程のことについて悪態をついた。







「…だって英語ができないから世話してくれるアイツといるだけさ。友達じゃないよ、あんなの。お人形遊びみたいに"'、寝癖がついてるわ'"ネクタイが曲がってるわ"って。もしゃべり方だけじゃなくて中身も馬鹿だからされるがままさ。だからあんな悪夢みたいな奴と一緒にいれるんだ」

「ハーマー!」
ハーマイオニーは早足で途中でロンにぶつかりながらも先に行ってしまった。ハリーはハーマイオニーの異変に気付き「聞こえてたよ」とロンに囁いたが、ロンは少し気まずそうにしながらも、「べつに構わないさ」と吐き捨てるように言った。
はハーマイオニーを追う途中で二人の前に立ち塞がると、日本語で『確かにわたしはまだ皆の言ってることを正確には理解できないし、英語もとっさには出てこなくてつっかえてばかりだけど、親友を傷つけられても気付かない程馬鹿じゃないし、へらへらしている気もないよ!』と言ってロンを睨んでハーマイオニーのあとを追って行った。
残された二人はポカンとしていた。
「…アイツ今、なんて言ったの?」
「さぁ…でも、凄く怒ってたのは確かだよ」
初めて見たの怒りと、普段の話し方からは想像もできないほどの凜とした姿に二人は呆気にとられたが、次の教室へ気を取り直して向かった。




「ハーマー、ここに、いる?」
「一人にしてちょうだい…」




「っ、わたしが!ハーマーに、頼りすぎ、で、ハーマーは、嫌じゃないかって…」

「今日はハロウィンよ。ご馳走がきっとたくさんあるわ。、いかなくていいの…?」

「はい。」

言葉では上手く励ませない、気持ちを伝えられないには一緒に居るしかこの気持ちを伝える方法は無いと思った。








ここらへん作成中です><






トロール




「ハーマー!逃げて!」


はそう怒鳴ると印を素早く組んだ。
突然だが、日本の魔法族の特徴を知っているだろうか?西欧では魔女、魔法使いと言われていた魔法族は日本では天狗や陰陽師等とよばれることが多かった。
そして、忍者の一部も魔法を使ったと魔法界では伝承されていて、その魔法(日本では術という)は日本の魔法界には伝わっている。
は日本のマグル界出身だが、たまたま魔力を暴走させている時に出会った日本の魔法使いに魔法の制御の仕方、使い方は一通り教わっていた。
・・・日本では才能のある者は杖無しでも魔法と同じような術を使えるのだ。
代わりに印や呪文、御札などを用いるが。
杖なしで、複雑に手を組むだけで現れトロールを襲う炎にハーマイオニーが呆気にとられていると、トロールはあまりの熱さに焼かれた右足で転けたが怒りのあまり棍棒を滅茶苦茶に振り回した。

「キャーッ!」

それがハーマイオニーの近くの個室に当たり破片が飛ぶ。
は慌てて次の術のための印を組むが、トロールの棍棒が今度はの方へと向かい、それを辛くも避けたが洗面台の破片がの左腕に当り印を完成できなかった。
!!」
トロールがもう一度、に棍棒を振ろうとしたとき
「ハーマイオニー!!!!」
「やーい!ウスノロ!こっちだ!」
突然やってきたハリーとロンに気をとられてトロールの棍棒は少しズレたが、それでもの左足に当たった。
!!!」
三人が悲鳴のように呼び掛けたが、は気丈に笑って「OK、問題無い、です」と言うが上手く笑えていない。
確実に骨は折れたが、痛みよりもこの状況に対する焦りが上回った。
ハリーとロンがそこらへんの瓦礫をトロールに投げつけながらハーマイオニーにを連れて逃げるよう怒鳴るが、ハーマイオニーは泣きながら「わたし…駄目、腰が抜けて立てないっ」と首を振った。
トロールはうっとおしそうにハリーやロンの投げる瓦礫を払ったが、まだから狙いを変えないでいるとき、なんと、ハリーがトロールの頭にしがみついたのだ。ーしかもその拍子で、ハリーの持っていた杖がトロールの鼻の穴に突き刺さった!
トロールはあまりのことにハリーを降り下ろそうと暴れ、ハリーが懸命にしがみつく。
が、ついにトロールがハリーをその大きな拳でつまみ上げ、棍棒でハリーを打とうと構えたとき、ロンが杖を取り出して“完璧な発音で”杖を振った。
「ウィンガーディアム、レヴィオーサ!!」
棍棒はたちまちトロールの拳から舞い上がり、何が起こったのかと戸惑っているトロールの頭の上に、良い音をたてて落っこちた。
トロールは思わずハリーを落として、地面へと倒れこんだ。
「…こいつ、死んだ?」
ロンが恐る恐るトロールに近付いたとき、ハリーはトロールの拳が動くのを見て、叫んだ。
「ノックアウトしてただけだ!!」
トロールが起き上がり、怒りのままに暴れようとしたとき、
「離れて!!」の印が完成して
凄まじい電撃がトロールを襲い、恐ろしい悲鳴をあげ、を睨み付けながらトロールは黒焦げになり、今度こそ息絶えた。
三人は、あまりのことに思わずを見るが、も自分のやったことの恐ろしさに呆然としていると、複数人の足音がして先生達が女子トイレへと乗り込んできた。マクゴナガルが黒焦げのトロールと一年生四人を見て真っ青になり怒鳴り付けた。
「いったいどういうことですか!?何故寮にいるべき貴方達がここにいるのです!?」

「せ、先生!わたしが悪かったんです!」





「これは…いったい何の魔法を…」




マクゴナガル先生ははっと、を見て合点したのか頷く。
「ミス、」

先生に呼ばれ、

は立ち上がろうとして左足を立てるが忘れていた痛みが戻ってきてあまりの激痛にまた床に転がってしまうとマクゴナガル先生は慌てて駆け寄った。
「なんて酷い怪我を…ミスはすぐに医務室へ行きなさい!…スネイプ先生、お願いします。」
スネイプは杖を振りの丁度真下に担架を出すとゆっくり浮かべて無言で医務室へと運んだ。
は担架の上でぼぅとそんなスネイプを見ていると、彼が足を引き摺っていることに気が付いたが、「何を見ている」とスネイプに睨まれたのでギュッと目を瞑って痛みに耐えることに集中した。
あのトロールは、死んだのだろうか?
暗闇の中で、電撃に打たれたトロールの目が、を睨む。
背中がヒヤリとした。

ーわたしが、殺した…?

トロールの恐ろしい地を這うような悲鳴が頭の中でガンガンと、傷口と一緒になって響く中、は意識を手放した。


目が覚めると、足の痛みは嘘のように消えていた。
思わずまじまじと左足を確認していると、カーテンが開き、校医のマダム・ポンフリーが薬瓶を片手にやって来た。
「目が覚めたんですね?幸い骨折だけで済みましたから、朝食は皆と食べて大丈夫ですが、その前にこれを飲んで行きなさいね」
グラスに薬を注ぎ、ずい、とに差しだす。
「まったく、一年生がトロールと対峙してこれだけで済んだなんて本当に奇跡です。」
マダム・ポンフリーが怒りながらカチャカチャと用具を片付ける。
「すみません」
「次からはこんなことのないようにしなさいね。…ミスター・ディゴリーなんて、知らせを聞いて朝食も採らずにここに飛び込んで来たくらいなんですから…」
「セドがっ…あ、セドリックが、来たんですか?」
「ええ。さっき朝食をとるようにと返しましたから、食堂にいると思いますよ。早く無事な顔を見せてあげなさい。」
は薬をーとても苦くて不味かったー飲んで、急いでグリフィンドール寮まで戻ってシャワーを浴びて着替えたが、時計を見たらまだ8時で、いつもよりも遅いがゆっくり朝食をとっても間に合う時間だったので少し安心して授業の準備をしてから食堂へと向かった。
ハーマイオニーと朝食を採るのはまだ人も少ない時間だったから、朝にこんなに人がいる食堂は初めてだった。たぶん今が一番賑わう時間なのだろう。ハーマイオニーはまだ居るだろうか、と食堂に足を踏み入れたとき、
!!」とハッフルパフのテーブルからセドリックが駆け寄った。
声が大きかったので、食堂中の生徒が二人に注目していた。
「ほんとうに君は…怪我は?」
セドリックはの前まで来ると、上から下までの様子を確認した。
「治して、もらったよ、大丈夫!」
がそう笑って左足で地面を三回蹴って見せるとセドリックは思いっきりを抱きしめた。
「昨日の夜に君の噂を聞いて、心配で堪らなかったけれども寮からは出られないし、今朝医務室へ行っても目を覚ましていないし、追い出されるし…」
「ごめんなさい…」
セドリックは何度もの頭を撫でた。それが心地好くて昨日の、あの恐ろしいトロールの目からも逃げられるような気がしては甘えて頭をセドリックの胸にすりよせると後ろでコホンと咳払いがした。
「あ〜、お二人さん、仲がよろしいのは良いことだけど、セド、今日の一限目はすっごく遠い教室の占い学だぜ?」
「ケヴィン!」
慌ててはセドリックから離れたが、セドリックは気にしていないようで、「走ったら間に合うよ」と落ち着いて応えるとまたに向き合った。
、本当に今回の件は運が良かった。何があったか詳しくは知らないけれど…もう、こんな無茶はしないこと。…いいね?」
は視線を合わすため屈んだセドリックの顔を見て、彼の目の下にできたクマに気がついた。
ほんとうに、心配してくれたんだ。
は不謹慎ながらも心が温かくなるのを感じた。
「うん。無茶は、しない、です」
セドリックはそれを聞いて、あの、左にだけえくぼのできる、優しい笑みを浮かべるとの頬にキスをして「また後で」とケヴィンに引っ張られて食堂を後にした。
食堂のざわめきはいつの間にか消え去りシンとしていたが、はそういえば、セドリックにキスされたのは初めてかも知れないとぼんやりと思っただけだった。エイモスおじさんとロベルタおばさんとはよくキスしたけど…
そんなふうにぼうとしながらまたハーマイオニーを探そうとグリフィンドールの席に向かおうとしたとき、ガシャンという音とヒヤリとした感覚がソックスから靴の中までした。
「ごめんなさい!手が滑ったわ」
の足元にはグラスの欠片が散らばっていて足はミルクでびしょびしょだった。
ミルクを溢したハッフルパフの女生徒は申し訳なさそうに「許してね」と言うからは曖昧に笑って「気にしないで、下さい」と言うとテーブルにあったサンドイッチをハンカチに何個か包んで着替え直すためまた寮へと戻った。
は女生徒の意地悪く笑う目には気がつかない。
足はミルクで汚れてしまい靴の中までグショグショだったが、は憂鬱とは感じなかった。

もう、トロールの恐ろしい目はを睨まないから。






ハロウィンの翌日からは、地獄だった。
はじめは些細なことばかりであまり気にしていなかったが、
それが逆に彼女達の気を逆撫でしたのかもしれない。
廊下では転ばされたり、トイレでは水を浴びさせられたり、教室に忘れた教科書は見るも無惨なものになったり。

典型的ないじめがはじまったのだ。

グリフィンドールにもセドリックのファンは居たようで、談話室でも一度書きかけのレポートをインクまみれにされてからそれ以来は宿題は図書室のマダムピンスの目につく場所で仕上げて濡らされたり破られたりしないようすぐに先生のところへ提出した。

ハーマイオニー達にはそんなところは見られたく無かったから、食事以外は一人で行動することが多くなった。
ハーマイオニーはを何度もハグリッドの小屋や図書館へとを誘ったが、は三人と一緒にいるときに何かされたくなかったので、セドリックに会うからごめんねと断ると彼女も納得した。

セドリックはクィディッチの練習がはじまってから忙しくなりあまり会っていなかったのでそれにははホッとした。


しかし、実際は辛かった。

誰かに言えば良かったのかもしれないが、それでは彼女達からときどき言われる、「かわいこぶっている。甘えてばかりいる。」ということになるのではないかと思うとは自分でなんとかしようと思った。

どうすればいいかなんてわからなかったが、とにかくはなんでも一人でするようにした。

ハーマイオニーの助けがなくても授業についていけるように予習、復習はそれこそハーマイオニーよりやるようにした。

わからないところは直接先生に聞きに行った。


しかし、そんなことをしたからといってすぐにの頭が良くなる訳ではないし、いじめもなくなることは無かった。


そしてついにクィディッチの、グリフィンドールとスリザリンの試合の日。
ハリーの初試合なので、ハーマイオニーもロンもを誘い、前日にはグリフィンドールのみんなでハリーを応援する旗まで作った。

けれどもがマフラーを部屋に忘れてみんなに先に行ってもらい、寮へ戻ろうとしたときに、上級生の女子の集団と出くわしたのだ。


先生も生徒もみんなクィディッチの試合を観に出掛けていたので城の中はシンとしていた。

彼女達も今から観戦に出かけるところだったようで防寒具もしっかり身に付けていたが、彼女達はの前で歩みを止めた。