暇だ。
お昼ご飯をヒナタととった後、他の班は担当上忍の先生が迎えに来て教室から連れ出していったけれど、
七班の先生だけはなかなか現れる様子は無い。
うずまき君はいらいらと落ち着かないでいるがうちは君と春野さんは大人しく先生の到着を待っていた。
ちなみにわたしは印を早く組む練習を机の下でゴソゴソとしていた。
あーこのままだと先生来てもそのあとすぐ帰らなきゃ修行の予定時間過ぎそう…今日のメニューこなせないかな。
これじゃぁまたばあちゃんに怒られるわーとかぼんやり考えていると痺れを切らしたうずまき君が黒板消しをドアに挟む、
あのベタなトラップを作成していた。
「こら!ナルト!やめなさいよ!」
春野さんはそんなうずまき君に注意するものの、どこか楽しそうだ。
うちは君は呆れてそんな二人を見ている。
そのとき、ガラリとドアが開いてベタな展開が繰り広げられたのだ。
「ぎゃはははは!ひっかかったー!」
「すみません!わたしは止めたんですけど…(よっしゃー!期待通りのベタなオチ!)」
チョークの粉まみれの、木の葉の額あてと口布で顔を隠した…おそらくわたし達七班の担当上忍の先生を
サスケは信じられないといったふうに見つめ、わたしはそれを見て見ぬふりをした。
そんなわたし達を見て先生は一言。
「うーん…お前らの第一印象はぁ…嫌いだ!」
ですよねー。
そのあとわたし達も他の班のように場所をうつしてまずは自己紹介をすることになった。
先生とわたし達は初対面だから仕方ないけど、普段知ってる人の前で改めて自己紹介ってなんか照れる。
「自己紹介ってどんなことを言えばいいの?」
サクラの問いに先生は「好きなものや嫌いなもの将来の夢や趣味、ま!そんなのだ」と適当に答えた。
「あのさ!あのさ!それより先に先生自分のこと紹介してくれよ!」
「そうね、なんか見た目怪しいし…」
そんなナルトとサクラ二人の発言を聞いて、この先生も完全にナメられてるなーとか思ったけど、
確かに遅刻するわ黒板消しにひっかかるわと少しその気持ちもわからなくはない。
でも上忍だからわたし達よりも遥かに強いし死線も潜り抜けてきたのだろう。
そして、それを表に出さないということが逆に凄いんだ!…と思うようにしよう、うん。
「はたけカカシ、好き嫌いをお前らに教えるつもりはない!将来の夢って言われてもなぁ…ま、趣味はいろいろだ!」
と思った矢先にこの自己紹介。
いや、敵に自分のことを知られるのは忍びの世界じゃ御法度だし・・・!!
「結局わかったのって名前だけじゃない?」
春野さんの言うとおりだ。やっぱりこの先生なんか抜けてるというか、よめない。
それよりも自己紹介ってやっぱりけっこう難しい。
将来の夢って…とくにないしなぁ。
んー、どうしよ。
そんななか自己紹介ははじまった。
「オレさ、オレさ、うずまきナルト!好きなものはラーメンでもっと好きなものはイルカ先生におごってもらった一楽のラーメン!
将来の夢は火影を越すこと…!!趣味は…イタズラかな。」
「名はうちはサスケ。好きなものは特に無いが嫌いなものは沢山ある。夢、というより野望はある。…ある男を必ず殺すことだ」
「春野サクラ 好きなものっていうか、好きな人はぁ・・・言っちゃおうかなぁ…キャーっ!!嫌いなものはナルトです!」
すごーく個性的な自己紹介だった。
何を言おうか考える暇もなかった。
はたけ先生はそんな三人の自己紹介に少しげっそりして最後にわたしを見た。
「じゃぁ最後は君。」
えーこのノリからのトリでわたしかよ、キツイ…
「、好き嫌いは…なるべくしないようにしてます。将来の夢は、一人前になること、とか。
趣味は…修行かな…あー、修行です。」
先生は「ふーん」と言うと早速これからのことについての説明をはじめた。
どうせ没個性的な奴です。わたしなんて。
ってか他の三人が強烈なだけだし。
なんてうじうじ考えていると、先生の話の雲行きが変わってきた。
明日からこのメンバーだけで特別任務を行うらしいが、それがなんとサバイバル演習。
しかもそれは試験で9〜10人しか受からない難関試験、落ちたら下忍にはなれずにアカデミーに逆戻りだというのだ。
当然みんなは抗議するけれども、たしかにアカデミー卒業試験は分身の術、とか簡単すぎた。
忍になるのはそう甘くないといういこと。
だから、昨日リーさんは意味深な行動をしたのか、と考える。
先生はキツい訓練になるから朝食は抜いて来いと言うと瞬身の術で立ち去った。
とにかく、こうなった以上やるしかない。
わたしもさっさと帰って修行することにした。