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「詳しくは向こうで聞こうか」

先生はまだうちは君にそれを教えたくないらしく、わたしが先生の攻撃をかわすたびにうちは君からはどんどんと遠ざかってついに川の近くまで来た。
流石上忍…
完璧にわたしを誘導しつつ、反撃の隙も与えてもらえなかった。

「それで、この任務の答えって?」

本当は先生には然り気無くわたしわかってますよーアピールをしようと思っていたのだけれど、こうなれば仕方ない、
わたしは答える。

「…これは任務のためならいかなる状況でもチームプレーができるかどうかを見極めるための試験…ですよね」

「へぇ、どうして?」

「先生はこの演習を任務って言いました。忍の任務は例外を除いて常に何人かのチームで行われます。わたし達は一応下忍。そしてパワーバランスを考えて組まれた第七班というチームとしてこの任務を受け持った。」

はたけ先生は黙って先を促す。

「忍は、任務遂行を何よりも優先しなければならない。後で揉めようが最適な手段で任務を遂行できるかどうか。それがこの試験の答え。」

先生は感心したように「凄い洞察力だね。」と言ったが全然誉めている様子は無かった。
まぁわたしも…リーさんがスリーマンセルで行動してたから気づいたようなものだけど。

「じゃぁ、なんでサスケにだけ声をかけたの?」

はたけ先生はまたわたしに質問をしてきた。

「ナルトとサクラは?」

「…彼らは冷静じゃなかった…一番冷静そうなうちは君の方が早く事態をのみこんでくれると思ったからです。」

嘘だ。
わたしも内心はうちは君と一緒であとの二人は足手纏いだと思っていた。
そしてうちは君とも、本当は組む気なんてなかった。
わざと彼がコテンパにやられてから彼のプライドを傷付けるような言い方ではたけ先生の前で仲間になるよう説得した。

―わたしの実力を、示したかったから

もういいだろうとわたしは構えた。
膝を軽く曲げて直ぐに動けるようにする。

「でも、もう時間もありませんし、うちは君でものってくれなかったし…1人ででも…鈴、取らせて頂きます。」

はたけ先生はわざと隙だらけに突っ立っていた。

その右脇を狙い一気に距離を詰めて殴りかかるがあっさり受けられる。
構わず直ぐに空いた左に蹴りを入れようとしたがそれも受けられた。
仕方なく距離をとり、すぐにホルスターから手裏剣を取り出し投げる。
これも軽々と避けられる。

…やっぱり正攻法じゃ無理か

でも血継限界は自分の実力じゃないような気がして好きじゃないから使いたくない。
わたしはわたしの実力で、強いということを証明したい…!!

何度も練習した印を組む。

―水遁・水乱波!!

口から水を出す、使い勝手いろいろの水遁の基本中の基本の術だ。
はたけ先生は後ろに下がり軽々とかわした。
すぐに印を組む。
印を組むスピードは自分で言うのもなんだけど、早いと思う。
暇な時間さえあればいつでも印を早く組む練習をしていたのだ。

水遁・水線華の術!!

川の水を使い、糸のようになった水がはたけ先生目掛けて襲いかかる。
この術はわたしのオリジナルだ。
細い水流だけれども、回転しながら恐ろしい勢いで流れる水は岩でも切り裂くことができる。
そして、はたけ先生を追い詰めた場所は川。
先生は水上歩行の業で川の上まで逃げたがこれこそ作戦通り…!!

水遁・水昇破!!

川の水が一気にはたけ先生の足元から空へとつき上がった。

先生は水にのまれる。

わたしはすぐに走り出し、川の上を走った。

今の派手な攻撃に合わせて、水線華の術を一瞬だけ使ったのだ。
鈴の糸を切るために…!

先生が水にのまれている間に回収しなければ…!!

水線華の術で宙に浮いた鈴に手を伸ばしチリンと指に鈴がかすったとき、水中から現れた足にわたしは思いっきり後ろへ蹴飛ばされた。

―川の上に飛ばされたのは分身か…!!

まんまとやられたわたしは無様に陸まで吹っ飛ばされて転がった。
蹴られたお腹がじくじくと痛むが再び立ち上がったとき、ジリリリリとベルの音がした。

タイムアップだ。