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みんなでワイワイ歩いていると自然と話ははじめての里外、はじめてのCランク任務についてになる。
そもそもCランク任務では、基本的に野盗、盗賊から依頼者を護衛したりする、ほかの忍とは接触のないような比較的危険も少ないものだ。
もちろん外に出ればいろんな国の忍やはたまた抜け忍なんかと出くわす可能性もあるけれども、実際にそういった忍びたちと戦う場合はB以上の内容だ。
下忍になりたての7班ならまぁ当然。
とは言っても組手とは違って実際に悪意や殺意を持った人間と戦うとなると緊張するけれどもワクワクするのも事実で。
わたしもうずまき君と同じくらいキョロキョロしながら歩いていると、ふと道の片隅にポツンとある水溜りに気がついた。
水遁を使うわたしはクセで水を探しながら歩いていたからなんとなくそれを見て
あぁ、これくらいの水量なら水線華の術なら使えそう、水昇破は無理だな〜とか考えながらその水溜りをとおりすぎた直後、
殺気を感じて反射的にタヅナさんに駆け寄った。
そして、目に入ったのは、切り刻まれているはたけ先生・・・の変わり身。

敵襲!しかも、他国の忍・・・!!


先生は出てくる様子はない。
わたし達四人でやってみろってことだ。

うずまき君が次に狙われた。
敵は二人がかりでうずまき君に向かうがそこへうちは君が助けに入る。
敵はこの二人・・・いや、もう一人!

「伏せてください!」

依頼者のタヅナさんを狙った時間差の奇襲!
先の二人はオトリだった。
春野さんはクナイを構えているものの、戦闘は無理だろう。震えている。
わたしは新たにやってきた敵のタヅナさんを狙った手裏剣を弾き返す。
そのまま突っ込んで来る敵の忍、
霧隠れの額当てに一本の線。抜け忍だ。
大人の男と子供の女ということで体格は圧倒的に不利だが下手に受け流してもタヅナさんを危険に晒すことになる。
わたしはとっさに向かってくる敵に自分から駆け寄った。

少しでも依頼人から危険を放す!

リスクは高くなるが任務の確実性は上がる。
そのままお互いのクナイがキィンと高い音を奏でた。

「このガキがっ!」

男はそのまま力任せに押してくるから一瞬力を抜いて相手のバランスを崩してそのまま手を掴み前へ倒した。
うつ伏せに倒れた敵の右手を強く踏みつけ握ってたクナイを放させるとそれを遠くへ蹴飛ばす。
そのまま敵の首元にクナイを突きつけた。
しっかりと男を動けないよう固定しながらあたりを伺うとそのときにはうちは君にはたけ先生が加勢して二人を倒していた。

「ナルト。すぐに助けてやれなくて悪かったな。怪我させちまった」

うずまき君は奇襲とそれに対して何もできなかった自分にショックを受けているようだった。

「まさかお前がここまで動けないとは思わなかった。」

はたけ先生がオトリだった二人を拘束して、わたしの取り押さえているもう一人もロープで固定した。

「とりあえず、サスケ、。よくやった、サクラもな。」

春野さんも震えていたとはいえ、依頼人から離れずに構えはしっかりとれていた。
本当に何もできなかったのはうずまき君だけ。
そんなうずまき君にうちは君は追い討ちをかけたのだ。

「よぉ、怪我はねぇかよ?ビビリくん」

「サスケェェエェェ!」

その言葉を受けて、うずまき君の初めての実戦、殺す気で来た敵への恐怖は悔しさへと変わっていた。
へぇ、発破かけるの上手いなぁ。うちは君は。
なんてわたしがのんきに考えていたらはたけ先生がその喧嘩を止めるくらい大きな声を出した。

「ナルト!お前はすぐに毒抜きをしろ!こいつらの爪には毒が塗ってある。すぐに傷口を開いて地を抜かなきゃダメだ。あまり動くなよ」

うずまき君は流石にそこまで死にたがりでもないようで一時休戦。
それを確認してからはたけ先生は厳しい表情で先程から何か考え込んでいるようだったタヅナさんに向いた。

「ところでタヅナさん。ちょっとお話があります。」









「こいつらは霧隠の中忍ってとこだな。」

拘束した三人の忍を観察してはたけ先生は言った。

「何故俺たちの動きを見破れた!?」

拘束されてもまだ強気な霧隠の抜け忍は納得いかないとはたけ先生にくってかかる。
わたしは答え合わせをするように、先生に聞いた。

「水たまり・・・ですよね?」

「そう。も気づいていたか。」

先生が感心したように言うから少し気まずくなって正直に言った。

「水たまりには・・・でも、水隠れの術までは想定できませんでした。」

「まぁ、Cランク任務と聞かされていたし、忍の存在が無い前提なら上出来かな」

先生はぽんぽんとわたしの頭を軽く叩いて褒めてくれた。
すこし嬉しい。

「ここんとこ晴れが続いていたのに道の真ん中に水たまりがあるのは不自然でしょ?」

はたけ先生がそう抜け忍たちに言うと彼らも押し黙った。
でも、依頼者のタヅナさんは納得がいかなかったようだ。

「それを知っていてなんでガキにやらせた?」

「わたしがその気になればこいつらくらい瞬殺です。・・・が、わたしには知る必要があったんです。この敵のターゲットが誰なのか。」

つまりはたけ先生が知りたかったことは狙われているのが依頼人であるタヅナさんか、忍であるわたし達かということだ。
わたし達はこの任務をCランク任務として引き受けた。そこには他国の忍からの護衛は入っていない。
Cランク任務はあくまで野盗やギャングからの護衛のみ。
これではBランク以上の任務だ。そうなるとリスクと依頼料が釣り合わないのだ。
よってこの任務は契約に違反しているということ。

「この任務私たちにはまだ早いわ!やめましょ!」

春野さんがはたけ先生を説得する。

「ナルトの毒血を抜くにも麻酔がいるし・・・里に帰って医者に見せないと!」

正論だ。
わたし達下忍がこれからもおそらくこの霧隠の元中忍、もしくはそれ以上の忍に狙われている可能性のある依頼人を守りぬくのは上忍のはたけ先生がいるとはいえキツイ
。こっちの命まで危険にさらされるだろう。

「ん〜〜〜こりゃ、荷が重いな。ナルトの治療ついでに里に戻るか。」

はたけ先生も、悔しいけれどもお荷物なわたし達の面倒をみながらの護衛に不安を感じたのか、少し思案したあとそう結論を下した。
うちは君は少し不満げにそれを聞いていた。
おそらくお荷物扱いされたことに腹を立てたのだろう。それはわたしも同じだけれども、事実は事実。しぶしぶその指示に従おうとしたとき、いままで黙っていたうずまき君が突然クナイをさっきやられた傷に突き立てたのだ。


「なにやってんのよ!?ナルト!?」


春野さんは驚いてうずまき君に駆け寄ろうとしたけれども、うずまき君は言い切った。




「俺がこのクナイでおっさんは守る!任務、続行だ!」




うずまき君の目はさっきまでの恐怖は消え去り、揺るぎない力強いいつもの目にもどっていた。
春野さんは不安そうに、はたけ先生はどうしようかと迷っているようだったから、わたしも少しは、彼の肩をもってみたくなった。

「・・・いいんじゃないですか?わたしは賛成です。」

驚いたようにみんながわたしを見た。

「だってわたし、お荷物にはなりませんもん」

そう、わたしは舐められるのは嫌いだ。
はたけ先生がわたし達のことをお荷物と考えるのは理解できても納得はできない。
やっぱりそれはうちは君も同じだったようで「同感だな」とニヒルに笑った。

「へへっ!決定だってばよ!」

わたし達三人に春野さんは何も言えず、先生は呆れたようだったけれども「仕方ないな」と任務続行は決定した。

「よっしゃ!、サンキューな!」

笑顔でドクドクと血が流れる方の手でわたしにハイタッチしようとしたうずまき君に先生が一言。

「ナルト、景気よく地を抜くのはいいが、それ以上は出血多量で死ぬぞ?」

うずまき君の絶叫が響いたのは言うまでもない。