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うずまき君のおかげですっかりわたし達は持ち直していたけれども、すぐに再不斬の本当の強さを思い知らされた。 再不斬の昔話が終わった瞬間、またあの恐ろしい程の殺気を向けられ、その次の瞬間にはうちは君が何の防御をする暇もなく、再不斬に殴られ、踏みつけられたのだ。

「サスケ君っ!!!」

血を吐くうちは君を見て春野さんが絶叫してタヅナさんも先ほどとは打って変わって絶望したようにやっぱり無理だと叫ぶ。

「死ね」

再不斬が踏みつけられ動けないうちは君に剣を突き刺そうとするからわたしも反撃にでる。

「水遁・水陣壁!!」

うちは君の周りから水が吹き上げ、それが再不斬の剣を弾き返した。

「くっそぉ!!影分身の術!!」

うずまき君もそれを見て直ぐに印を組み、かなりの数の影分身をだしてうちは君から再不斬の注意を反らすけれども、その影分身も一蹴され る。

「サスケェ!!」

そんな中でうずまき君の分身たちの一人がうちは君に巨大な折りたたみ式の手裏剣を投げ渡した。 うちは君はそれを受け取り、直ぐに構えた。

「風魔手裏剣・影風車」

「手裏剣なんぞ俺には通用しないぞ」

再不斬の分身は鼻で笑ったけれども、うちは君 が狙ったのは分身ではなく、はたけ先生を捉えている本体の方。 それを本体の再不斬はあっさりかわしたと思ったらその陰にもう一枚の手裏剣。 春野さんはやったと喜んだけれどもそれも簡単にかわす再不斬。 でも、うずまき君とうちは君の狙いはそれだけではなかった。 かわされて再不斬の本体の後ろに飛んでいった 手裏剣が、軽快な音と共に煙を出して、そこから現れたのはうずまき君。

「そこだぁぁああ!!」

突然の出現と、背後から投げられたクナイに思わず水牢の術を解いて再不斬はクナイを避けた。

「このガキィッ!!」

自分よりも格下の子供からまさかの反撃をうけた再不斬は怒りに任せて空中から水の中に落ちていいくうずまき君に手裏剣を投げつけようとしたけれども、それははたけ先生の篭手で止められた。 見事、うずまき君の作戦は再不斬の水牢の術からはたけ先生を救い出していたのだ。

「ナルト、作戦見事だったぞ。成長したな、お前ら。」

つまりうずまき君はたくさん影分身を出した時にどさくさに紛れて本体は手裏剣に変化してそれを分身に持たせて分身と入れ替わった。 そして手裏剣に変化した本体をうちは君に渡してそれに気づいたうちは君が咄嗟に自分の手裏剣を出してうずまき君と本物の手裏剣とで影風車の術をしたということだ。 普段いがみ合っているとは思えないほど見事な連携プレイに春野さんも感心していた。 再不斬は落ち着きを取り戻したように笑う。

「フン・・・カッとして水牢の術を解いちまうとはな・・・」

がそれはすぐにはたけ先生に否定された。

「違うな。術は解いたんじゃなく、解かされたんだろ」

はたけ先生の台詞は図星だった。

「言っておくが、俺に同じ術は通用しない。どうする?」

再不斬からまたあの殺気。
それに今までとはまた雰囲気も違う。

「サクラ、、油断するな。」

うちは君がタヅナさんの前に警戒しながら立つのに倣って春野さんも並ぶ。
わたしはチラリと水中から顔を出したままのうずまき君を見た。

「・・・うちは君、タヅナさんをお願い。」

このままだとうずまき君が巻き込まれる可能性がある。
結界を組み直してうちは君と春野さんもタヅナさんと一緒に結界にいれる。 そして直ぐに、まだ水の中にいるうずまき君の方へ向かった。 その直後、再不斬とはたけ先生は互いに距離をとり、水の上に立つと全く同じ動きで印を組み始めた。 そして、全く同じタイミングで同じ術を繰り出した。

「「水遁・水龍弾の術!!」」

巨大な水流が龍のような形となって絡み合って弾ける。 激しい水流に呑まれているうずまき君のところ へ水上歩行の業で駆け寄り助け出す。

「うずまき君、捕まって!」

っ」

うずまき君は水遁で荒れる川で溺れないよう必死にもがきながらわたしの差し出した手に捕まった。

その間もはたけ先生と再不斬はやはり全く同じ動きで闘い、その様子はまるで鏡のようだ。

「じっとしてて!」

わたしはうずまき君を引き上げると直ぐに脇に抱えてうちは君と春野さ ん、タヅナさんの所へ戻ろうとしたけれどもそれは間に合わなかった。 はたけ先生はまるで再不斬の考えまでよんでいるように、同じセリフを言うと今度は再不斬よりも早く、術を完成させたのだ。

「水遁・大瀑布の術!!」

水の上に立っていられずに、水に呑まれてなんとか片手で木の枝を掴み、もう一方の手でうずまき君を掴む。
そしてなんとか流れに逆らいもといた場所に戻ったときには同じように術に呑まれて大木に身体を打ち付け た再不斬に、はたけ先生がクナイを打ち込んでいた。
再不斬が悔しそうに呻いた。

「何故だ?お前には未来が見えるのか?」

「あぁ。お前は死ぬ。」

そう言って先生が再びクナイを手にした瞬間、 予想していなかった方向から細長い棒のような武器、千本が飛び出し再不斬の首に突き刺さっ た。

「フフフ、本当だ。死んじゃった。」

呆気なく地に伏す再不斬。
千本の飛んできた方を見ると、そこには仮面をつけた少年が居た。

「ありがとうございました。僕はずっと確実に再不斬を殺せる機会を伺っていた者です。」

少年はペコリと頭を下げる。

「たしかその面・・・霧隠の追い忍だな」

「さすがによく知ってらっしゃる。」

はたけ先生が言った追い忍。
自分の里に刃向かったりなんらかの理由で出ていった抜け忍から里の秘密が漏れるのを防ぐために抜け忍を追い、暗殺し、死体を始末する部隊のこと。
人間の身体に詳しく、更に確実にターゲットを殺せるようとても強い、エリートの集まりやすい傾向もある。

うずまき君は自分達と同じ年頃の子供が自分達が叶わなかった再不斬をあっさり殺したという事実に納得がいかなかったようで喚いて、はたけ先生になだめられていた。
少年はそんなうずまき君には目もくれず先生が生死を確認したあとの再不斬の死体のもとへと木の上から降り立った。

「あなた達の闘いもひとまずここで終わりでしょう。僕はこの死体を始末しなければなりません。なにかと秘密の多い身体で。」

そう言うと少年は再不斬を抱え上げた。

「それじゃぁ、失礼します。」

少年は印を組んで瞬身の術で再不斬と共に消え去った。

うずまき君は少年を探してキョロキョロと辺りを見回すけれどももちろんこの辺りにはもう居ないだろう。

「なんだったんだってばよぉ!俺たちってばっ!!」

うずまき君は悔しそうに地面を拳で叩いた。
少し気持ちはわかるかもしれない。
自分はもちろん、木の葉のナンバーワンルーキーでさえ到底敵わなかった再不斬をいとも簡単に倒してしまった少年。
あれだけ苦戦した自分達はいったい、あれだけ修行した成果はいったい、と何もかもが不条理に思えてしまう程の衝撃を少年はわたし達に残して消えた。

「忍者やってればこういうことはよくあることだ。悔しかったら次に活かせ。」

でもはたけ先生は冷静だった。

「俺たちの任務はまだ終わったワケじゃない。 タヅナさんを家まで送らなければならない。」

タヅナさんも今までの暗い雰囲気を吹き飛ばそうとか豪快に笑った。

「ハッハッハ!みんな、超スマンかったのぉ! まぁ、ワシの家でゆっくりしていけぇ!」

先生もそのタヅナさんの気持ちに乗った。

「よぉし!元気よく行くぞ!!」

しかし、その直後、先生はバッタリと糸の切れた人形のように倒れたのだ。

「ちょ、え!?どうしたの!!?」

「カカシ先生!?」


これでもう終わりかと思った今回の任務。
でも、一筋縄では、終わらない。