次の二次試験は死の森といわれる危険な場所でのサバイバルだった。
それぞれ円形の土地の離れた所からスタートし、各班それぞれ一本ずつ配られた「天」と「地」の巻物を揃えて中央の塔に五日後までに行くことが試験内容。
それまでの食事などはサバイバルということで現地調達で、また塔に着くまで巻物は決して開けてはならないらしい。
とにかくここで残っている班は少なくとも「天」と「地」の巻物により半数まで絞られる。
わたし達は「死んでしまうかもしれませんが、構いません」という内容の同意書にサインをして、暗幕に覆われたテントでその同意書と引き換えに巻物を貰った。
そして四人班はハンデとして他の三人班のチームよりも30分遅いスタートとなった。
30分って結構でかい。
トラップ張るにも待ち伏せするにも充分な時間なんだから。
わたし達はその30分ただ待っているなんてわけにはいかず、いろいろ決めておくことにした。
まず、巻物を持つ人。
これに時間がかかって(サクラはサスケを推してサスケも自分が持つと言ったのにナルトが反対してわたしもなんとなく気にくわなくて揉めたため)気が付いたら出発五分前…
アホすぎました。
とりあえず、敵の罠に気を付けつつ安全そうな場所を見つけて食料、水を確保する!とサスケがヤケクソ気味で怒鳴ると開いたゲートから森へと飛び出した。
適当な場所を探して木の枝を足場に走っていたが、すぐにナルトが用を足しに少し班を離れる。
そしてしばらくして戻ってきた人物は、ナルトの姿をしていたけれども、別人だった。
サスケもホルスターの左右の逆に気づいて撃退したが、これはかなりわたし達を焦らせた。
こんなに早く、狙われるなんて。
波の国以来の命の危険にナルトとサクラも険しい表情をしていた。
「サスケ、こんなこともここにいたらザラだろうし、早めに対策を練ろう…単純だけど合言葉とか」
わたしはそうサスケに言うとサスケもわたしの視線の先に気付いて「ああ。」と頷き地面にしゃがんで四人で顔を寄せた。
「…単純だが、手早くできるぶん今はそれが良いだろう。いいか、一度しか言わないぞ。」
その合言葉を決めた直後、狙ったかのようなタイミングで森を突風が突き抜けた。
地面から吹き飛ばされてから咄嗟に五行結界で風を避けたが他の三人にまで手が回らなかったうえに自分もさっき居た場所からはかなり離れた場所まで吹き飛ばされてしまった。
奇襲か!?
地中に居た敵にはサスケも気付いていたから、三人一緒に飛ばされていたらそう簡単にはやられてないハズだ…!!
すぐにわたしは仲間を探しに駆け出した。
三人を見つけたときには、みんなボロボロだった。
巻物は奪われ、ナルトは意識はなく、大木に磔られ今にも落ちそうで、
サクラは傷は負っていないものの、精神的にやられたようだ。
そして、サスケは、ろくろ首のように首が伸びた男に首筋を噛み付かれていた。
「サスケ!!」
わたしはすぐに二人の間に入り込み、男を蹴り飛ばしサスケを担いでサクラの隣まで下がった。
男は蛇のような目でこちらを睨む。
恐ろしい程の殺気が襲う。
こわい
でも、動けるのはわたししか居ない…!!
「サクラァ!」
恐怖に固まる身体を叱咤して再び恐怖に呑まれつつあったサクラを呼んだ。
「ナルトとサスケを連れて逃げて!」
サクラは驚いてこっちを見る。
「はやく!」
「でもっ…」
そのときサスケが絶叫した。
「うわぁああああああっ!!!」
首筋を押さえていることからさっき噛みつかれたときに何かしらされたのは明らかだ。
「…日没までに合流するから…はやく!」
わたしと目が合うとサクラは頷いた。
それを確認してこちらの様子をうかがっていた男に向き合った。
サクラがナルトのところへ向かう。
男の視線がそちらに向いたとたん、わたしは男に向かって駆け出した。
クナイをポシェットから取り出し、男の顔に斬りかかるが男は伸びていた首をしゅるしゅると引っ込めた。
わたしは止まらずに男の身体の方まで駆け出すが、男は口から刀を抜き出し、わたしのクナイを受けた。
やっぱりこいつは普通じゃない…!
サクラがナルトを助けてサスケの方へと戻る。
サスケは呻き悶えている。
刀越しに男と目が合い、またあの禍々しい殺気に当てられた。
「くぅ、」
思わず涙が滲んだけれども、後ろへ引くわけにはいかない…
わたしはこいつには勝てない。
力の差は歴然だ。
そんなことわかりきっている。
ならば、やるべきことはひとつ。
今度はまっすぐと男をにらみ返し、気合いだけで刀を弾いた。
男は笑みを浮かべて後退した。
「少しは楽しませてくれそうじゃない…でもね、貴方に構っている暇は無いのよ。」
咄嗟に結界で全身を囲った。
しかしすぐにそれはパリンと砕ける、が相殺できたようでそれ以上は無かった。
男の手は印を組んでいたのでなんらかの幻術を仕掛けてきたのは間違いない。
「…面白い術を使うのね」
そこからの記憶は曖昧だ。
男は“暇はない”と言ったとおり、様子を伺うような態度から一変して攻撃へと出た。
わたしは防戦一方でチャクラが切れて
…最後に聞いたのは、
「この試験、確か班の1人でも死んだら班員は全員失格だったかしら…サスケ君にはまだ頑張ってもらわなきゃならないし、アナタの術もなかなか興味深かったし…仕方ないわね」
という男の声だった。